白内障と老眼を同時に治療

目の老化現象の代表格と言えば、老眼と白内障を思い浮かべる人が多いと思います。老眼は40 歳を過ぎると自覚してくると言われていますが、白内障も早い人では40 代で発症します。2 つの老化現象が重なることもありますので、そうなった場合の見えづらさは日常生活にも影響するでしょう。
ただ、見えづらさを感じても自分が老眼なのか白内障なのかは、実際に検査を受けてみないと解らないことが多いと思います。老眼だと思って眼科を受診したら、白内障も見つかったというケースも少なくありません。老眼だけを治療しても白内障で見えづらい、白内障だけを治療しても老眼鏡に頼ることになる。こんな悩みを解決できるのが「多焦点眼内レンズによる白内障手術」です。多焦点眼内レンズは、白内障と同時に近視、遠視、乱視、老眼を解消できるため、プレミアムレンズとも呼ばれることもあります。

白内障について

白内障には、先天性白内障や外傷性白内障などいくつかのタイプがありますが、加齢性白内障が大半を占めます。年間で130 万人も手術を受けていますので、手術の中では身近な手術だと言えます。白内障は、レンズの役割を担っている水晶体が白く濁る病気で進行すると著しい視力低下を伴います。また、放置すると失明に至ることもある白内障は、医療のレベルが未熟な途上国では失明原因の第一位にランクされていますが、日本では約3% と適切な時期に手術を受けることで、治療が可能な目の病気です。そのためにも、適切な時期に手術を検討することが必要です。

多焦点眼内レンズについて

白内障で使用される眼内レンズには、1 つの距離にしか焦点が合わない単焦点眼内レンズと複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズがあります。
単焦点眼内レンズは、手術後に必ず眼鏡(老眼鏡)が必要になりますが、多焦点眼内レンズは、遠方、近方、中間など複数の距離に焦点が合うので、眼鏡(老眼鏡)に頼らない生活が期待できます。多焦点眼内レンズには、焦点が合う距離によって様々な種類がありますので、目の状態や見え方の希望に合わせてレンズを選択することができます。ただ、先進国の中で多焦点レンズの普及が遅れている日本では、多焦点眼内レンズを取り扱っているクリニックが少なく、選択肢が限られているのが現状です。

多焦点眼内レンズの種類

白内障で使用される多焦点眼内レンズには、焦点が合う距離によって様々な種類があります。初めて登場したのは、遠方と近方の2 つの距離に焦点が合う2 焦点眼内レンズになりますが、最近では遠方・中間・近方の3 つの距離に焦点が合う3 焦点眼内レンズや、遠方・遠中・中間・近方の4 つの距離に焦点が合う4 焦点眼内レンズ、遠方・遠中・中間・近中・近方の5つの距離に焦点が合う5焦点眼内レンズなども新たに登場していますので、趣味やお仕事、スポーツなど生活スタイルに合ったレンズを選択することも可能になりました。ただ、先進国の中で多焦点レンズの普及が遅れている日本では、多焦点眼内レンズを取り扱っているクリニックが少なく、扱っていても選択肢が限られているのが現状です。また、手術の実績にも大きな差が生じているため、レンズの種類が豊富で手術実績のあるクリニックを選ぶことがポイントになります。

多焦点眼内レンズのメリット

白内障で使用される多焦点眼内レンズのメリットは、白内障と同時に近視や遠視、乱視、老眼を治療できるところです。単焦点眼内レンズのように、白内障だけを治療するレンズは、せっかく手術を受けてもメガネ(老眼鏡)を手放せません。このため、年齢よりも老けて見られることもありますし、活発に行動することも制限されてきます。近年、パソコンやスマホが日常生活の必需品となってきたことで、近くを見る機会が多くなっています。
毎回、老眼鏡を掛ける不自由さが常につきまといますので、多焦点眼内レンズの登場によって、手術後の日常生活を大きく変えることが期待できるようになりました。多焦点眼内レンズは、メガネが手放せない生活から、裸眼での生活が得られるという大きなメリットを持っています。

多焦点眼内レンズの相場

白内障で使用される多焦点眼内レンズは、健康保険が適用されない自費診療となりますので、クリニックによってレンズの費用が異なります。また、焦点が合う距離が多いレンズほど価格が高くなる傾向があり、新しく登場したレンズほど新技術が採用されているレンズが多いようです。実際の相場としては、片眼20 万円~ 80 万円とレンズの種類によって幅があります。
中には、両眼で300 万円といった高額な価格をつけているクリニックもありますが、ここまでの金額になると比較する意味もないと思います。
また、取扱っているレンズの種類も施設によって差があるため、1 つしか選択肢がない場合もあれば、何十種類ものレンズの中から自分に適したレンズが選べる施設もあります。ただ、多焦点眼内レンズを扱っている施設自体が少なく、地域によっても異なるため、首都圏と地方では多焦点眼内レンズを扱っている移設の数に格差があります。中には多焦点眼内レンズがあることも知らないまま白内障手術を受けてしまう人もいるようなので、ぜひ多くの人に多焦点眼内レンズの存在をしていただきたいと思います。