ICL眼内レンズの基礎知識

最近、指原莉乃さんやダレノガレ明美さんなどが、自身のブログで手術を受けたことを紹介したことで、ICL への注目度が高くなっています。興味のある方も多いと思いますが、手術で使用するレンズについて誤解している人もいるようです。 皆さんが心配されている合併症の抑制を考えた新しい ICL レンズも登場していますので、ここでは眼内レンズの基礎知識を紹介します。

手術で使用する眼内レンズ(後房型)について

ICL手術で使用される眼内レンズには、3つの種類があります。どのレンズで手術を受けても結果には差が無いことが眼科学会や論文でも報告されています。レンズの種類について知らない人もいると思いますので、実際に発売されているレンズをご紹介します。

ICLレンズ
(Sttar社:アメリカ)
合併症の抑制を考えた新しいICLレンズ
プレミアムICLレンズ
(EyeOL社:イギリス)
アイクリルレンズ
(WEYEZER社:スイス)

ICL レンズの性能

レンズ名 EVO+ICL レンズ 合併症の抑制を考えた
新しいICLレンズ

プレミアムICLレンズ
アイクリルレンズ
レンズデザイン
メーカー STAAR社
(アメリカ)
EyeOL社
(イギリス)
WEYEZER社
(スイス)
レンズタイプ 後房型レンズ 後房型レンズ 後房型レンズ
近視
遠視 × ×
乱視
老眼 老眼用レンズなし 老眼対応レンズあり 老眼用レンズなし
レンズ素材 コラマー
(Collamer)
ハイブリッド
ハイドロフィリックアクリル
ハイブリッド
ハイドロフィリックアクリル
レンズの汚れ 付着しにくい 付着しにくい 付着しにくい
レンズの光学径 6.1mm 6.6mm 4.65〜5.5mm
ハロー・グレア
緑内障の抑制
センターホールのみ

緑内障を抑制する
ハプティクスホールあり

センターホールのみ
白内障の抑制
センターホールのみ

白内障を抑制する
マージンホールと
プレミアムカーブを採用

センターホールのみ
レンズと水晶体との距離 狭い 広い
プレミアムカーブの採用により
白内障の抑制効果あり
狭い
レンズのサイズ 4サイズ 13サイズ 3サイズ
レンズの安定
レンズのサイズが豊富で
適切なサイズのレンズが選べる

どの眼内レンズでも結果に違いは無い

ICLレンズに3つも種類があることを知らなかった人もいると思いますが、手術の結果には差が無いことが確認されているのであれば、手術を受けるか選択肢が広がったことは患者にとって喜ばしいことです。すでに、世界規模で行われている海外の眼科学会や英語の眼科雑誌に論文が掲載されているようなので、ICLも進んでいることが解ります。
プレミアムICLレンズには老眼も治療できる新しいレンズがありますので、近視や乱視以外にも対応できるようになったことは、年を取っても視力は良好なままでいられることになります。老眼鏡が必要なくなる時代が来ていることに医学の進歩を感じます。

眼内レンズの基礎知識

フェイキック(Phakic)とは「有水晶体」という意味で、水晶体を残したままで行う手術をフェイキックICL手術と言います。このICLという言葉は、「Implantable Contact Lens」の略で、目の中に挿入するコンタクトレンズという意味になります。後房型のレンズは、上記の3つのレンズが発売されていますが、結果には差が無いことが証明されていますので安心です。
同じように眼内レンズを使用する手術に白内障手術がありますが、こちらは濁ってしまった水晶体を取り除いてからレンズを挿入する手術になりますので、「無水晶体」と言われているそうです。

白内障手術

濁った水晶体を取り除いてからレンズを挿入するため「無水晶体眼内レンズ挿入術」とも呼ばれています。

ICL

水晶体は健全なままレンズを挿入するため「有水晶体眼内レンズ挿入術」とも呼ばれています。

IOL:Intra Ocular lens

ICLや白内障手術で使用する眼内レンズの総称をIOLと言います。

ICL:Implantable Contact Lens

で使用する眼内コンタクトレンズの総称をICLと言います。

幅広い選択肢がある眼内レンズ

ICLレンズには3つも種類があることを知っていただけたと思いますが、多くの選択肢があることは、患者にとっては大きなメリットになります。
老眼にも対応した新しい遠近両用レンズが登場していることも紹介しましたが、近視の人は目が良い人よりも老眼を自覚する時期が遅くなる傾向があるので、うっかり近視を治療してしまうと、今まで自覚していなかった老眼を強く自覚してしまうことがあります。これは、もともと近くが見やすい目だったからで、老眼が始まっていても自覚していなかっただけだからです。一般的には40歳を過ぎた頃から自覚すると言われている老眼ですが、様々なレンズの登場によって治療ができるようになったのは、老眼に苦労している人にとっては朗報です。